ぽんでらいおんのオモチャ箱

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雑記 「言の葉の庭」 感想

”愛”よりも昔、”孤悲”のものがたり。

劇場作品「言の葉の庭」を見た感想です。

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2013年5月31日に公開された、新海誠監督の第6作にとなる作品です。本編約46分の中編アニメーション作品となっており、新宿にある日本庭園を舞台に、靴職人を目指す15歳の少年秋月孝雄と、彼と偶然出会った27歳の女性雪野百香里との恋にまつわる物語となっている。

新海誠監督の作品にみられる映像の美しさ、背景のち密さ、自然の動きや人物の陰影、心の機微などはこの作品でもしっかりと見られている。
前作の「星を追う子ども」はファンタジー要素の強いジュブナイル作品として描かれたが、今作「言の葉の庭」は現代日本を舞台にした現実寄りの話となっている。

万葉集から二つの歌が引用されており、それが物語の要となっている
・雷神-なるかみ-の 少し響-とよ-みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ
・雷神の 少し響みて 降らずとも われは留らむ 妹し留めば
下の歌が上の歌の返し歌となっており、女性の「天気が荒れて雨が降りだせばあなたをここに留めておけるのに」という問いかけに対し、男性が「たとえ雨が降らなくても私はここに留まるよ、あなたが引き留めるなら」と返している。
万葉集の引用にある通り、この作品では雨のシーンがとても重要となっており、頻繁に描かれている。しかもその全てが微妙に変化しており、見ているものを惹きつける。
雨の日の東屋で偶然出会ったタカオとユキノ。初めて出会ったタカオに対し、ユキノが去り際に残したのが上の歌。これは彼女を象徴する記号などだけれど、タカオが気付くにはだいぶ時間がかかってしまう。

タカオがもともと日本庭園に足を運んでいるのは、雨の降った日、学校には行かず朝の授業をさぼって空を感じつつ、靴のデッサンやイメージを作るため。そこに紛れ込んだのがユキノという女性。
ユキノはタカオに歌を送った後、二回目の出会いで「雨が降ればもしかしたら会えるかもね」なんて意味深な事を残して去っていく。それが6月ころの話でまだ梅雨を迎える前。やがて時が流れ梅雨入りが宣言されると、雨の時期が長くなり、二人は時間を共にする機会が増え徐々に関係が近づき始めた。
関係を築いていく中で、タカオはユキノに対して自分の夢を語る場面が出てくる。靴を作りたい。それはただ思い描いているだけの夢ではなく、具体的に手に入れようとするため自分の手を動かして模索しだしている夢。タカオが靴作りをするシーンは劇中でも幾度となく見られ、視聴者に対してものづくりの印象を植え付けていく。どうしてその夢を持つようになったのかもぼんやりと描かれており、苦労はしているが純粋な心を持ったまま育った直な少年なのだと感じた。
そんな彼がユキノに対して「女性用の靴を作っているんだが、誰のを作るかが決まっていない」と漏らす。ユキノは彼に応えるように自分の足を差し出すのだが、ここで足の型を取るシーンが見ようによってはとても官能的である。コメンタリーでも新海監督が言っていたのだが、このシーンは相当作画を割いており、一種の濡れ場であるとも言っていた。

やがて梅雨が明け、学校が夏休みに入ると二人の関係は疎遠になってしまう。二人とも、雨の日に会おうという暗黙の約束を守っていた。とくにタカオの方がそれは顕著で、ユキノに合わせた靴作りを開始した今、中途半端な気持ちで会ってしまうと、自分の中で何かが変わってしまう(或いは依存してしまう)という思いを持っていた。
ユキノの方はというと、庭園の東屋に晴れの日でも足しげく通っていた。もともと雨の日という約束は曖昧なものだし、何より彼女がタカオに投げた万葉集の返し歌は天気など関係ないという意味が込められている。「雨が降ればいいのに」と、晴れの日を恨むような発言も出てくる。
このユキノの言葉の意味というのが、劇中の中盤くらいから見え始める。もともとユキノは、タカオの通う高校で古典の教師をしており、生徒とのトラブルで外に出れなくなるくらいに追い詰められていた時期があった。そのリハビリのため、学校には向かわず寄り道をして日本庭園の東屋で足を休めていたのだ。
ユキノの台詞「27の私は、15の私に比べてちっとも賢くなっていない」、「歩き方を忘れてしまったの」、「私、まだ大丈夫よね」といったものがとても印象的。15歳の少年から見た27という女性はとても謎めいて移り(実際、製作陣もそう見えるようユキノの衣装には相当気を使ったと、コメンタリーで語っている)、惹かれる要素がとても多い。けど、27というその年代から見てしまえば、大人っぽい部分もあるけど子供っぽい部分だってあるし。何より一度心が深く傷ついてしまった人間からすると、ほんの些細な出来事で泣きそうになってしまう部分だってきちんと存在する。好きな仕事に就いたはずなのに、まったく別の事で好きな仕事が出来なくなってしまう。人生という長い路で、歩き方を忘れてしまうくらいに深く傷ついた人間からすると、タカオの雰囲気というのはユキノにとって本当に救いなんだろうな、と感じさせるような描写は新海監督の持ち味だと思う。

タカオがユキノの事を知るのは夏休み明け。学校でたまたますれ違った事で彼女の正体を知る。ユキノが最初にタカオに送った言葉の意味や、彼女が抱えていた問題などを知った彼は、ようやく雨の日以外であの東屋で彼女再び語らう事が出来た。東屋で突然のスコールに出会って、ずぶぬれになった二人はユキノの部屋で温かい時間を過ごす。このシーン、劇中ではBGMオンリーで台詞はないがオーディオコメンタリーではどんな言い合いをしているのか聴けるので、気になった方は是非手に取って欲しい。何気ない会話のやり取りが、こんなに心に染み入るんだなと、作品の雰囲気に浸れる。
ユキノの部屋でタカオは気持ちを好きだという気持ちを告げるけど、彼の気持ちをユキノは結局はぐらかしてしまう。ユキノと呼ぶタカオに対して「先生でしょ」とたしなめたり、何より「私はあそこで歩く練習をしていたの。”靴”なんてなくても歩けるように」という台詞が、受け取り方によってはタカオを完全に遠ざけるようにも感じてしまう。ただ私の感じた印象としては、靴なしで歩けるようになりたいというのは、彼なしでもちゃんと自分の足でしっかり歩ける、健やかな自分になりたいというユキノの気持ちの表れなのではないかと受け取った。
ただ、タカオとしてはユキノからの言葉は衝撃だったし、15の自分はやっぱり子供で27のユキノとは釣り合わないんだと感じるのは当然といえるだろう。
部屋を出て行こうとするタカオを、ユキノはいったんは引き留めようとするが結局引き留めきれない。彼が出て行った部屋で一人、今まで彼から送られた言葉がリフレインする。純粋な彼から送られた数々の言葉。その優しさに突き動かされるように、ユキノは部屋を飛び出してタカオを追い掛ける。階段を駆け下りるシーンは、なんだか「とらドラ!」という作品を思い出した。ラストシーンでユキノを嫌いだと叫ぶタカオの言葉は、一つ一つがユキノの胸に刺さり、ここで初めてユキノは声を上げて泣く。ある程度歳を取りだすと声出して泣くのが難しいと感じてしまうだけに、このユキノの泣き声はなんだか自分の心を洗い流してくれるようで有難かった。雨が降っていたシーンから、日が差し込むシーンに切り替わるのも余計にそう言った気持ちを駆り立てる。

結局、ユキノは四国へと行ってしまい二人はそれぞれ別々の路を歩き出す。
別れた後、靴作りは相変わらず成功と失敗を繰り返すし、夢を追うため学費を少しだって稼ぎたいし、学業だって疎かにはできない。季節は廻って夏から秋、そして冬になるころ。ユキノはどうしているかと想いを廻らせながら、タカオは日々過ごしていく。
・・・そして最後は、二人出会った東屋でユキノからもらった手紙を読み、ようやく彼女のために作った靴を見つめながら、いつか自分が遠くまで歩けるようになったら、ユキノに会いに行こうと決意して。


相変わらず新海監督の映像の美しさには息を吞みますし、風景の美しさだけでなく物語に込められたメッセージ性には心打つものがあります。
新海監督の作品に出合ったのは「秒速5センチメートル」のあたりで、友人に勧められたのが始まりでした。6年前にあの作品を見た自分にはとても衝撃的で、ある種の鬱的な印象を抱く作品でしたが、同時に繰り返し見たいと思えるくらいの想いも抱きました。今あらためて秒速を見返すと、当時見た印象とは変わっており、ああいった思春期から大人に変わっていく際の色恋模様も受け止められるようになって感じ方が変わったんだなと思います。
「星を追う子ども」は劇場まで足を運んで観に行きました。ただジュブナイル作品が自分には合わなくなってきたのかな、と悲しくなる印象を受けたのを覚えています。
そして今作「言の葉の庭」。劇場公開が5/31で鑑賞料が一律千円。劇場公開から1か月ほどでBD/DVDも発売と、見るチャンスは今までずっとあったんですがなかなか踏ん切り付かないまま、遠ざけていました。
でもやっぱり新海監督の温かさに触れたいと思い、今回BD版を購入。特典はボーナスCDと本編の倍以上ある映像特典。映像特典は、オーディオコメンタリー、キャスト・監督インタビュー、ビデオコンテ、本編予告編と、「ほしのこえ」から「言の葉の庭」までの予告編とぎっしりな感じ。
コメンタリーは新海監督と、新海作品には縁のある水野理沙さん。女性視点での切り口とタカオの視点に立った新海監督のコメンタリーは必聴です。
フィルモグラフィと呼ばれる、「ほしのこえ」から「言の葉の庭」までの予告編やあらすじ解説は懐かしさを覚えました。

ずっと遠ざけて来たけど、やっぱり触れて良かった作品。あれこれ書きたい事書いて吐き出せてよかった。タカオの感じる視点はよく分かるし、ユキノのタカオの気持ちを交わすやり方は大人ってずるい!と感じた一方。ユキノが抱えた問題や、12年も経ってちっぽも前に進めていなかったり、同じところをぐるぐる回っている焦燥感や目的地が曖昧となってしまう喪失感もまた同様に分かるな~というのが、この作品を見た印象でした。
感動的な作品に触れて涙する事はあっても、自分の心情や今の生活の在り方・不安などで声を上げて泣くことがなくなっていたんだ~というのを改めて気づかされた作品でした。
泣けるときには泣いて、それでまた歩き出せればいいですね。
いつか、タカオがユキノに靴を贈れる事を祈って、締めとさせていただきます。
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[ 2013/09/16 23:41 ] 雑記 | TB(0) | CM(0)
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